中高齢者の転職希望とヘルスリテラシー

あるデータによると、雇用形態で60歳未満の男性は6割が「正社員」を希望しているが、女性は6割がパート・アルバイトを志向している。その一方で、60歳を超えると男性も正社員志向は四分の一大きく減る傾向を示している。比率的には女性も同様で60歳を超えて65歳とされる定年年齢の壁を感じさせています。

同時に、男女とも各年齢で1割に満たないものの、4%~9.3%とある程度の割合で自営業主・家族従事者としての比率が占めています。

こうした背景には、60代後半層の健康不安があるように思われます。

読書から知識が深まる別の調査では、60代前半層の継続雇用の形態は、6割が嘱託・契約社員で占めており、社会の動向に志向が合わせるかのように動いているようにも見えます。

しかしながら、高年齢者は個々人で非常に異なるため、会社の基準を設けて「適合者を雇用したい」という意向を持ち合わせる事業者が55.6%を占めていて、企業側は併せて「健康の維持・管理に努めてほしい」としている比率が4割を超えているほど高率です。その背景には、高齢者の経験や知識を効率的に業務に反映させたいという意向も読み取ることが出来るようです。

その点から見ると、「ヘルスリテラシー」が求められますが、健康力の高いレベルにある人と病気がちの人との格差は開くばかりではないでしょうか。一番のカギは毎日の実践力にありますが、続けるコツを知らないとなかなか長続きしないものです。その点から、わたし達がアドバイスできることも多いと思います。
リュックを背負ってハイクする女性
お気軽にオフィスにお運び下さい。

65歳以上の就業率上昇中

高齢者の方もにも働きたいという方が増えています。

そこで、65歳以上の就業率の推移を総務省『労働力調査年表』からみてみると、2000年に36.2%だったものが緩やかならが上昇し続けていて、2016年には42.8%に達し、70歳以上でも13.7%ほど維持されています。

今後も健康寿命が延びれば、さらに働きたいという人の比率が上昇する見られることから、企業側がどのように高齢者の能力を活用したいのか、その取扱が注目されます。

ミスマッチ

その一方で、高齢者職務活動におけるミスマッチがあることも明らかとなっています。

高齢者の評価されるべき職務活動の能力には「協力・交渉」が挙げられているのにもかかわらず、高齢者評価が最も低い「肉体的負荷のかかる作業」が非常に多い点が明らかとなっています。

また、全国的な職業別に見ると、高齢者就業者のうちの47.3%が「農林漁業」に就労しています。次いで、都市部などでみられる「運搬・清掃・包装等従事者」や「建設・採掘従事者」「運搬・機械運転従事者」などとなっており、AI化が進むことで消滅する職業とみられている業務という点も特徴的かもしれません。

宝の持ち腐れ

しかしながら、現状からみるとこうしたミスマッチが生じていると、企業にとっても「宝の持ち腐れ」となってしまします。この点から若手を育て、モチベーションが保てる環境をつくりつつ、うまく事業運営を行おうとする意識を持つことが必要になってきます。

中でも、外国語、管理運営、指導・教育のような経験と知識の深さが求められる分野での活躍が期待できます。事業者側が、こうした経験者を現場などで排して、老若の役割を上手く世代間に分散させることで円滑な業務運営に結びつける事が求めれれる時代になっているようです。

派遣事業の従来に比べて比重が高まっていますが、「派遣先」と「派遣元」の認識の一致が重要で、相互の業務提携ばかりでなく、就業者本人の満足度も問われる時代となっています。単にWIN-WINの関係というばかりでなく、WIN-WIN-WINの関係が出来上がる社会となることが求められる時代といえそうです。

経済的自立が必要に

人口急減と超高齢化が及ぼす影響

人口が急減し、超高齢化が進むと、経済的な影響ばかりでなく、これまでの社会保障制度などのように右肩上がりの経済や人口構成も人口増加を想定した制度にも大きな影響を与えます。その点からも、公共の制度を当てにすることなく、自立して働く環境を作り上げることが非常に重要になっていくといえます。

非労働力人口の8.6%は求職者

就業を希望していない人の中にも、実は就業したいにもかかわらず、以下の理由で働けないという人がいるからです。
 ・ 親や配偶者などの介護・介護のため
 ・ 自分自身の健康に問題があるため
 ・ 出産・育児のため
 ・ 適当な仕事がない

ということが挙げられています。

中でも、出産・育児についての対策は公共の諸施策によるところが多く、国も保育園の設置が進むような施策を展開しています。信隆会においても、こうした施策に応えて、東武東上線上板橋駅から徒歩3分のところに企業主導型保育園を開設しています。

男性に多い「健康上の理由」

女性の就業したいが働けない理由で圧倒的に多いのが「出産・育児のため」ですが、男性では自分自身の「健康上の理由」による割合が3割近くに及びます。即ち、日ごろの健康管理に問題があるという状況にあります。

タバコ・運動不足・偏食・飲酒など、個人的背景は様々でしょうが、生活習慣病は「自己責任病」とも呼ばれています。その意味では、どのように気を付ければいいのか、しっかり学習しておくことが必要ではないでしょうか。

男性:就業希望者の非求職理由

運動、食事などに気を付けて、脳卒中やその原因となる動脈硬化などから遠ざかる生活習慣を身につけておきたいものです。

産業別女性雇用者数トップは「医療・福祉」

総務省の「労働力調査」によると、昭和60年の女性雇用者数で産業別にみると「サービス業」464万人で全体の30%を占めてトップでしたが、平成27年では578万人で23.4%と最も多く、「卸売業・小売業」の20%が続いています。

平成22年に「卸売業・小売業」を上回って以降、トップは「医療・福祉」が続いています。

一方で、女性役員を除く雇用者に占める「非正規の職員・従業員」の割合は、平成15年に「正規の職員・従業員」を上回って以降、ほぼ一貫して増加しています。

昭和60年-女性雇用状況

平成27年-女性雇用状況

このような社会情勢の変化を考慮すると、今後も超高齢社会にあって産業別では「医療・福祉」において女性の雇用が増加傾向を見せており、なおかつ当面増えると思われます。

しかしながら、医療・介護分野ではまだまだ正規雇用の比率が少ない状況にあり、派遣事業などにおける常雇用が増えるのかが注目されます。

男女雇用機会均等法から30年

1986年に施行されてから30年以上が経過しました。募集や採用にあたり、男女の取り扱いを均等にしようとするもので、配置・昇進・教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇などについて、女性労働者であることを理由にした男性労働者との差別的な取り扱いを禁止したわけです。

さらに、2007年4月1日施行の改正法では、
(1) 男女双方への性差別の禁止(均等法から差別禁止法へと転換)
(2) 権限の付与や業務の配分、降格、雇用形態・職種の変更、退職勧奨、雇い止めなどについての性差別の禁止
(3) 間接差別禁止
(4) 妊娠・出産・産前産後休業の取得を理由とした不利益取り扱いの禁止
(5) 男女間の格差解消のための積極的取り組むことを企業が開示するにあたり、国が支援
(6) セクハラの対象に男性も加え、予防、解決のため具体的措置をとるよう事業主に義務づける
(7) 調停の対象にセクハラも加わる
などの条項も加わりました。

こうした努力で、日本における男女格差が少しでも縮まることを期待したいと思います。男女にはものごとの見方や考え方、感じ方などには、必ず性差が存在します。その意味で、商品開発への視点ばかりか、介護・福祉・医療の現場、ものごとの感じ方など多様に反芻されることが満足度の高い社会変革につながるのではないでしょうか。

こうした視点から、わたしたちも板橋区や周辺地域を中心に、社会福祉法人として役割を認識して地域貢献の一翼を担っていきたいと考えています。

働き方改革の目指すもの

働き方改革

働き方改革の本音は
国が掲げたのは「一億総活躍社会」で少子高齢化が進む中でも「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」を目指したものです。その背景には人口減少が予想以上に進んでいることに加え、労働力人口も同様の状況があることです。

その一方で、高齢化が進むと共に、働き続けたいという人も増えています。

それにもかかわらず、気持ちよく働きたいというのも当然です。

従って、
 ・長時間労働
 ・非正規と正社員の格差
 ・労働人口不足(高齢者の就労促進)

を解消しないと「働きたい」という欲求を十分にくみ取る仕組みが必要になります。

中には自力で定年後に社会活動をはじめたいと、自分のミッション探しをしている人にも出会います。しかし、自力で行うよりも「選択肢」を探し求めている人が圧倒的に多いのではないでしょうか。

そこに「派遣事業」や「高齢者雇用」のあり方が問われています。事業者も、単純な労働力として見なすことよりも、経験に根差した能力を活用するという姿勢が必要になってきます。

こうした事業者が上手に生き残ることになるのではないでしょうか。

長時間労働の改善

2013年に国連からは日本の長時間労働については、
 ・多くの労働者が長時間労働に従事している
 ・過労死や精神的なハラスメントによる自殺が職場で発生し続けていることを懸念する

という指摘が出ており、その是正勧告が行われています。

働き方への国連勧告
特に、30~40代の働き盛りは、子育て世代でもあることから、ワークライフバランス必要性を求められるのも当然です。こうした長時間労働の改善を図ることで、会社の人材確保や魅力アップを図ることも重要だといえそうです。

介護事業のおける派遣では、あまり超過勤務を求められる事業所は多くはないでしょうか。

非正規と正社員の格差是正

日本における非正規社員と正社員の時給換算格差は非常に大きく、非正規は約6割に留まるといいます。欧州が8割ほどだといいますから、我が国での非正規・正社員格差は極めて大きいといえます。

そこで「同一労働・同一賃金」というわけです。その点からは、介護現場においては比較的成績が良いともいえる状況になりつつあるようにも思います。

特に、高齢者雇用を意識して、
 ・継続雇用延長・定年延長の支援
 ・高齢者のマッチング支援

を考慮しながら、同時に
 ・在宅勤務制度の新設
 ・年次有給休暇取得の促進
 ・有給休暇の取得促進
 ・仕事と育児の両立支援
 ・障がい者雇用機会の拡充

など、日本の企業が取り組むべき課題は多い様の思います。

働きたいという方が、働きたくなる事業所であり続けるために、事業者の取り組みが望まれます。