高齢化の進展と共に介護者が増えるというのが常識となっています。しかし、本当に単純な比例関係にあるのでしょうか。
わたしは些か疑問に思っています。その理由は、わたしたちの日常生活の変化です。一日を考えてみると、身体に筋肉が600以上もあるというのに、そのほとんどを使わない日々を送っています。
そこが大きな落とし穴となっています。使わなければ筋肉は衰えることを多くの人が知っています。しかし現実は、使えていない人が圧倒的に多いんです。病院や介護施設でもけして十分な頻度で筋肉を使い、さらに増やすという計画的なリハビリは行われているとはいえないように見えます。
高齢者の歩行を支えるという視点から、歩きやすように体をなるべくまっすぐ維持するには体幹の筋肉が必要です。さらに下半身を見ると、大腰筋や太腿の筋肉、大腰筋に拮抗筋である大臀筋など大きな下半身の筋肉を維持する意識が大切です。その大切な部位に必要な刺激を、しかも十分に行わないと効果は上がらないといえます。
これを怠れば、リハビリはやるば、効果が不十分ということになります。重要なことは本人の意欲を盛り上げた上で、継続して、必要かつ十分なリハビリを行なうことです。超高齢者の方は、なかなか必要かつ十分が難しいのかもしれません。できればそこに気づくのが早い方がいいでしょう。50歳代でも大腰筋をはじめとした下半身の大きな筋肉はかなり衰えているはずです。要介護者を増やさない様にしたいものです。